近年アンチエイジングの世界で急激に話題になっている老化現象である糖化。
「名医のTHE!太鼓判」などテレビ番組で取り上げられることも増えてきたので、糖化とはどんな現象なのかと興味を持つ人も増えてきているようです。
しかし、正直なところ健康にかかわる話題なので「ちょっと難しい」というのも事実。
難しすぎて挫折したという人も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?
今回はなかでも、一見すると糖化に関係ありそうな糖化酵素(糖化アミラーゼ)と身体の糖化について、
- 糖化酵素と身体の糖化は関係があるのか
- 糖化酵素・糖化アミラーゼはどんな働きをしているものなのか
の2点をこの記事ではご紹介いたします。
糖化酵素や糖化アミラーゼって身体の糖化と関係あるの?

まずさっそく結論から申し上げますと、身体の糖化と糖化酵素(糖化アミラーゼ)はほとんど関係ありません。
というのもこの2つの「糖化」ですが、まったく糖化の意味する部分が違うのです。簡単にそれぞれを比較してみましょう。
まずアンチエイジングの世界で今騒がれている「身体の糖化」は、
です。(「タンパク質を溶かす糖化反応、メイラード反応ってなに?」で詳しくお伝えしています。)。
それに対して糖化酵素(糖化アミラーゼ)による「糖化」は、おもに酒造の世界で用いられることばです。
日本酒に使われる麹やビールに使われる麦芽といったでんぷんを、加水分解を用いて糖に変換することといった意味で使われています。
つまり、
- 身体の糖化 → 消化しきれなかった糖によって体内で引き起こされるもの
- 糖化酵素による糖化 → お酒を作る段階でデンプンを糖にすること
とまとめられ、双方には「全く関係がない」ということがわかります。
「糖化」ということばがついているので、ついつい関係あるもののように思えるかもしれませんが、この2つにはまったく関係がないということを覚えておけばいいでしょう。
ビールには糖化酵素(糖化アミラーゼ)が使われている

ここまでの文章で、身体の糖化と糖化酵素には全く関係がないことをご紹介してまいりましたが、せっかくなので糖化酵素(糖化アミラーゼ)が実際にどんなはたらきをしているのか、ビールを例にして見ていきましょう。
ビールの原材料になる麦芽には、発芽をして根をはるまでの栄養分として麦芽の内部で酵素が活発に作られる仕組みが備わっています。
この糖化アミラーゼをビールづくりの工程で最大限に生かすため、ビール造りの現場では
- 麦を水に2日ほど浸す
- 1週間ほど経過をみて発芽しきらない程度に発芽させる
- 2の状態で乾燥させて発芽をストップさせて芽と根を切り取る
という過程が踏まれ、その結果できた麦芽が使われています。
先ほどの工程を経た麦芽を細かく砕き、酵素が働きやすい温度(約65℃)のお湯で混ぜ合わせるところからビール造りは始まるのです。
この酵素には2種類あるのですが、そのうちの1つがさきほどお話した糖化酵素です。
酵素の名前 | 役割 |
---|---|
αアミラーゼ | でんぷんを大まかに切断してくれる酵素で液化酵素と呼ばれている |
βアミラーゼ | αアミラーゼで細かくされたでんぷんをさらに細かい糖に砕く役割をしている。デンプンを糖に変える役割をしているので、こちらが糖化酵素(糖化アミラーゼ)と呼ばれている。 |
また、この工程はビールだけではなく日本酒でもほぼ同じようなものが踏まれています。
「糖化」というと近年よく言われる情報からだとマイナスイメージばかりが思い浮かんでしまいますが、そうではない「糖化」もあるんですね。
糖化酵素(糖化アミラーゼ)のはたらきまとめ

今回は、糖化ということばが使われている「糖化酵素」や「糖化アミラーゼ」について少しお話をさせていただきましたがいかがでしたか?
- 糖化酵素(糖化アミラーゼ)は、近年アンチエイジングの世界で盛んに言われている身体の糖化とは無関係であること
- おもに酒造の現場で糖化酵素は用いられること
- ビール製造の現場では、αアミラーゼによってある程度まで砕かれたデンプンを、さらに細かくして糖にする役割を担うことで活躍していること
がおわかりいただけましたら幸いです。
とはいえどもおそらくくすみ抗糖化Laboをご覧いただいているみなさまがおそらく関心を持っているのは、さきほど糖化酵素とはまったく関係ないと紹介した「身体の糖化」のほうではないでしょうか?
身体の糖化については「糖化とは?」のカテゴリの記事で詳しく説明しているので、ぜひこの機会にチェックしてみてくださいね。
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